一酒一会

Isle of Skye

フェリーはArmadaleに到着した。あると思っていたバスが無く、次のバスまでは2時間程待たなければならない。旅にはいろいろと不測の事態が起こる。

"あせってもしゃーないやん"

真っ赤な顔をした天使たちが囁く。

確かにそうだ。この時間を楽しむとしよう。愛用のスキットルを取り出し、天使たちとと一緒にウィスキーを楽しむ。今回のお供はちょっとグレードアップしてBlack Bottleを持ってきた。

ようやく来たバスに乗り込み、今日の目的地、Portreeに向かう。車窓にはScotlandのイメージを否定するかのような急斜面の岩山が続く。
牧草が生えていないのでどこか殺風景だ。海岸のわずかな平地に羊を放ち、人々が生活する。

この神秘的な島には伝説も多いが歴史上でドラマチックな出来事もある。1746年、Cullodenで敗れたBonnie Prince Charlie(Charles Edward Stuart)はIsle of Skyeを逃げ回った後、フランスへの脱出に成功する。確かに隠れるには都合がいいのかもしれないが、逃げるのは非常に困難だっただろう。もっとも追跡する方も大変だろうけど。

王子が無事にフランスへ脱出できたのはIsle of Skyeの領主、John MackinnonとFlora Macdonaldの手助けがあってこそだろう。だんだんと厳しくなる追跡にも負けず、また30,000ポンドという王子の首に懸けられた賞金にも裏切ることなく、最後まで行動を共にした。

そしてフランス行きの船に王子が乗り込むとき、Froraには再会を誓い、John MackinnonにはStuart家に代々伝わるリキュールのレシピが授けられる。

王子は2度とScotlandの地を踏むことなく、失意の中、1788年に死去する。Froraとの再会は果たせなかった。Mackinnon家は1906年に、Drunbuieとしてようやくリキュールを世に送り出す。やさしく、しかし力強い味わいに人々はHighlander Spiritsを感じたことだろう。ラベルには今なお"Prince Charles Edward's Liqueur"と記述されている。

3日後、私はInverness行きのバスでSkye Bridgeを通り、Kyle of Lochalshに着いた。Isle of Skyeともお別れだ。日本に帰ったら、"Isle of Skyeってどんな所だった?"と何度も聞かれることだろう。しかしこれほど迷惑なことはない。Scotlandの美しさ、素晴らしさを表す言葉を私は知らないのだから。でもIsle of Skyeは説明しやすいかな。

"Isle of Skyeには何もない。ただ美しい風景と魂(Spirits)があった"

Slainte!

( May 2006 )

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